20070708

総合大学生とファッションショー(2)

総合大学生とファッションショー(1)の続きです。

繊維研究会は今年、ファッションショーを考え直しました。

キーワード

・トップダウンとボトムアップ
・作家主義デザインと集団的生活者型デザイン


トップダウン型のファッションショーとは、「デザイナー」が「衣服」によって表現し、「モデル」を媒体として、その「衣服」を発信するカタチです。










ボトムアップ型とは、モデルを生活者と置き換え、生活者とデザイナーとの対話によって、「ともに」衣服の価値発見を目指すカタチです。





トップダウン型のファッションショーでは、「衣服」を纏う人は、その衣服が美しく見える体型を持つ「モデル」と言われる人々です。

そして、このモデルは「やせ過ぎモデル問題」を見ても明らかなように、一般的な生活者から見れば、別次元のスタイルやルックスを持っています。

しかし、本来「衣服」とは、別次元のスタイルやルックスを持つモデルの身体へ向けて作られるものではなく、生活者と「ともにあるデザイン」であるべきではないでしょうか?

つまり、見栄えの良いカタチ、美しいモデルを使い、流行色やトレンドといった消費のサイクルを早めるテーマを大量生産・大量消費という20世紀型のシステムで表現するのではなく、生活者の身体や生活スタイルに寄り添った「生活者とともにあるファッション」へ変化を遂げるべきであると考えています。


ボトムアップ型のファッションショーは、「生活者とともにあるファッション」への変化を予感するものです。

現在、価格.comやバイラスマーケティングの隆盛、ハイブリッドカーのプリウスへの注目などを見ればわかるように、企業などの上流が一方的に流す上からの価値体系ではなく、生活者軸の、または生活者から発信される下からの価値体系が重要性を帯びています。

ファッションデザインにおいても、ブランドネームや流行のカタチといった上流から流れてくる表層的な要素ではなく、自身の生活スタイルを再考し、自身の身体や生活に寄り添った、本質的な要素が重要になってくるのではないでしょうか?

このような時代背景を踏まえ繊維研究会は、上述のようにモデルを生活者と捉え直しました。

繊維研究会のデザイナーは生活者との対話を通し、その人の身体的特徴はもちろん、生活上の特徴やそれまでの生活スタイルを総合的に考え、ともに時間を過ごすことによって、単なる衣服ではなく「作り手との時間軸を含んだ衣服」をファッションショーで披露します。

このファッションショーというヴィジュアルではなく、ショーまでのコミュニケーションに重点が置かれています。

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